2007年8月 7日 (火)

格闘餓狼伝アーカイブス〜ヒクソンについて〜

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『ヒクソン・グレイシーはパワーファイターである。』

 意外に思われるかもしれないが、以上が私の出したファイターとしての、彼の評価である。
『結論』という形を出したからには、なんらかの理由づけが必要になってくるわけだが、その『理由』について少し掘り下げてみることにしよう。以下はそれをいくつかに分け、示したものである。

1. スタミナがない事。
2. 筋肉質である事。
3. 先天的、遺伝的要素によるもの。

ムなどである。どれもその項目自体、リンクしているものなのだが、それぞれについて細かく説明していくことにしよう。

 まず1であるが、彼は試合前によく『自己プロデュース』として
『クンダリーニ・ヨガ』のパフォーマンスを見せる。それは試合中、スタンド状態における『膠着状態』の際にも『腹式呼吸』をくり返す姿により
見てとる事ができるわけだが、試合中の彼を見ると『この人、ヨガやっていなかったら、どれだけスタミナがないのだろう?』と疑問符を投げかけたくなるほどのスタミナの無さを露呈している。これに関しては実際対戦した、『高田、船木』両選手も試合後、同様の評価をしている。私が思うに、彼は先天的にスタミナがなく、それを悟られないように、この『クンダリーニ・ヨガ』のパフォーマンスを見せていたのではないか?と判断している。(誤解のないように書いておくが、ヒクソンのスタミナ向上に、この『クンダリーニ・ヨガ』が貢献していたのは間違いない事だろうと思う。)

 次に2と3であるが、これに関しては重複する要素も多いのでまとめて考察をしていこうと思う。
彼の父でありグレイシー柔術の創始者、エリオ・グレイシー以降『グレイシー一族』の選手は、みな細みの身体をしている事に気付く。父エリオはいわずもがなだが、日本でファイトをしている彼の弟達『ホイラー、ホイス』もまたしかりである。『筋肉量が多い=スタミナがない。』とは、
一概には言えないが、陸上競技において、短距離選手に筋肉質の選手が多く
長距離選手に細みの選手が多いという事は周知の事実である。実際問題として
筋肉を動かすには、その質量が多ければ多い程、大量の『酸素』を必要とし、
その事から、スタミナが失われてしまう事となる。
彼の場合エリオ、ホイス、ホイラーなどの細みの体型ではなく、『グレイシー一族』の中では、異質とも思えるほどの、『マッチョファイター』である。
何故、彼は『マッチョファイター』であったのか?
これについては、グレイシー一族の家系図を見る事により解決できた。
彼等の父、エリオは一度離婚しているのである。ヒクソン、ホリオン、(ヒクソンの兄にあたる、初期グレイシー柔術におけるスポークスマン)は父エリオの血ではなく、離婚した母(マーウガリダ・グレイシー)の血を強く受け継いだものと思われるのだ。
逆にホイス、ホイラーは、父であるエリオの『有酸素系ファイター=細みの身体』の血が受け継がれたか、あるいは、後妻のベラ・グレイシーの血筋も『有酸素系』であったのだろう。専門的に言うと、彼等は非常に筋肉の付きづらい『外胚葉体質』といわれ、前妻マーウガリダの子、ホリオン、ヒクソンらは筋肉の付きやすい体質である『中胚葉体質』だったのであろう。(余談ではあるが、脂肪が付きやすく肥満体質のタイプを『内胚葉体質』という。このタイプの人間は後天的に体型を変えやすいといえる。ただし、強大な苦痛を伴う事になるのだが。)
おそらく彼は、体型が著しく変わる第2次成長期以降、兄弟達との練習の中で、自分のスタミナの無さを実感したのではないだろうか。(同時に、日に日に体型の変わる自分に驚いていたものと思われる。)

 以上の事から、ヒクソンは『有酸素系“スタミナ”ファイター』ではなく、『無酸素系パワーファイター』であるとの『結論』を出したのである。

 だが、この事によって、私は彼を否定するつもりはない。
逆に、そのファイターとしての姿勢を評価したい。先天的なパワーファイターでありながら、試合においては、そのパワーを自己コントロール出来、グラウンド状態では『脱力』し(このあたりが、レスリング上がりの『並』のパワーファイターには真似できない所である)フィニッシュの状態になり、初めてその『パワー』を解禁するのである。まさに、『柔(脱力)』と『剛(パワー)』を使い分けているのである。また、自分の能力を冷静に判断し、自己プロデュースすることにより、『幻想』を作る。対戦相手にとって、これは一つの『見えない武器』となる。高田選手はこれに敗れたといっても過言ではないだろう。このように他のファイターには、出来そうで出来ない事を彼はやってきたのである。(以前も書いたが、これはチャンプの条件である。)
この事は『プロ』として特筆すべき『能力』であり、またプロ格闘技界における偉大なる『実績』である。昨今のファイターに足りない要素はこのあたりに隠れているのではないだろうか。

いろいろと書き連ねてきたが、最後に書き改めなければなるまい。

『ヒクソン・グレイシーは“インテリジェンス”パワーファイターである』と。


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2007年6月26日 (火)

金網と柔術 〜A.R.ノゲイラのUFC挑戦〜

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PRIDEがなりを潜めて久しいが、契約選手達の流出が止まらないようだ。
今年初頭のミルコ米国進出に続く形で、初代PRIDEヘビー級チャンピオンのノゲイラの
UFC進出が決定した。

結果はどうなるか。

『苦戦』、『惨敗』。そんな予感が脳裏を過る。

『四角いリング』、『DON'T MOVE』のある世界と、『金網』、『オクタゴン』とは違う。

UFCの歴史を紐解いてみると、初期の技術体系が確立していない時期は別として、
バックボーンにある競技の各国代表クラスが、UFCに挑戦してきた中期に於いては
圧倒的に『テイクダウン』が強い、レスリング系の選手が勝利をものにしている。

特に、この中期は『ルール模索期』とも言え、グラウンド状態での『頭突き』が
認められていたため、力が強く、押さえ込みも強い『フリースタイルレスリング』を
バックボーンに持つ『マーク・コールマン』、『マーク・ケアー』が無敗街道を
突き進んでいたのである。

では、典型的な柔術系ファイターのノゲイラはどうか。
関節、締め技、、、そのどれもが仕掛ける事が難しい、それが現実であろう。

昨年、初期のUFCで活躍したホイス・グレイシーが、当時UFCマットで隆盛を
極めていた『レスリング系ファイター』のマット・ヒューズに惨敗したのは
記憶に新しいところだろう。
勿論、ホイスの結果のすべてをノゲイラに当てはめる事は出来ないが、年齢、その他を
抜いて考えれば、ホイスとノゲイラは柔術勢の中でも『グラウンドで下から関節を取るタイプ』
に分類され、やはり同タイプのホイスの結果は無視できない。
(参考までに揚げれば、ホイスの実兄であるヒクソン、ノゲイラの同門であるR.アローナなどは、
『相手の上に乗り、関節を極めるタイプ』といえる。)

今回のノゲイラ挑戦の結果は、勿論その『対戦相手』や『相手の闘い方』によっても
勝敗は、変わってくるだろう。特に、アメリカを主戦場にするUFCの場合、観客が
打撃による決着を望む傾向にあるので、先程述べた『相手の出方』次第では、
『スタンドパンチ』に一日の長のある彼ならば、打撃による勝利は十分可能だろう。

くり返しになるが、金網の世界で『関節系』の選手は不利である。グラウンド状態での肘打ちが認可され、『レフェリーストップ』の早い世界に於いては尚更であろう。

また今回は、関節によるフィニッシュに理解のある日本と違い、言ってみればノゲイラにとっては『アウェー』のマットとなる。
若いと言われてきた彼も30代となり『ニューカマー』から追われる立場となった。

そんな中、彼がどう闘うか。結果を待ちたい。

※前回告知した『ヒクソンコラム』は、次回に延期させていただきました。ご了承ください。

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2007年6月19日 (火)

格闘餓狼伝アーカイブス1〜最終章〜

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結論を言うと、この『無理のある身体づくり』と『過剰な試合スタイル』に警鐘を鳴らしたいのである。
一般論で言えば、観客が安くはない『チケット代』を払ってでもみたいもの
は『非日常』である。それは、どれだけこの先『上品な世の中』
になろうとも、変わらないだろう。
が、決してリング上、あるいはリング内外で死亡事故が多発して良いはずはないのである。それでは例え格闘技であってもスポーツとはいえない。それでは倫理に反してしまうだろう。
対応策として具体的にあげるならば、『質の高いレフェリングの出来るレフェリー及びルール改正』と『栄養学やスポーツコンディションに長けたコーチ』が絶対的に必要といえるのではないか。それプラス、レスラー自身の良い意味での『レスラーとしての』自覚である。
 古くから『レスラー幻想』を胸にプロレス及び格闘技を見続けてきた人間にとって、数々のレスラー幻想を抹殺するのは非常に寂しい事ではあるが、これらは事実である。その中でも『レスラーの最強幻想』に関しては近年、自分の中で、ほぼ消滅していたが、昨年のPRIDEヘビー級グランプリで小川直也選手がE.ヒョードル(現PRIDEヘビー級チャンピオン)選手に完敗した事で完全に消滅した。柔道世界王者として、プロレス界入りし、『プロレス界最後の幻想』といわれた選手が、柔道に無い『足関節』ではなく、『腕十字』で一本負けしたのだ。これ以上の事はないだろう。
昨今の現実に目を向けるにつけ、『レスラー幻想』を保っていく事はもう
現実的ではなくなってきているのだ。
くり返しになるが、数々のレスラー及び格闘家が、現在の『異種格闘技戦』の実験場である『総合格闘技』の舞台で惨敗し、酷使した身体が元で世を去っていく…。もうこの辺りで『超人達』は『人間』に回帰していくべきだと痛切に思う。

 最後に、現在隆盛を極めているPRIDEなどの『総合格闘技』もその競技としての性質上、死と背中合わせである。早急に『グランド状態でのひざ蹴り』だけでも排除しなければならないのではないだろうか。『ルールの見直し』が急務なのである。初期の総合格闘技団体『リングス』はその崩壊末期、KOKルールという現在の総合格闘技のルールに近いルールにスタイルを変更したが、最後まで『グランド状態での顔面パンチ』は解禁しなかった。それは、総帥であった前田氏が選手出身の興行主であったため、その危険性を熟知していたからだろう。
 
  格闘技界に大きな事故がないことを切に願う。


以上が、私JAY!が2005年に発表した『餓狼伝』の初稿であるが、2年以上経過した現在も尚、
レスラー達の『若すぎる他界』は終わっていない、、、、。

次回の格闘餓狼伝は、アーカイブス2として同じく2005年に発表した、ヒクソン・グレイシーについてのコラムを掲載する予定。

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2007年5月 4日 (金)

格闘餓狼伝アーカイブス1 ゲード2

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『身体づくり』にはもうひとつの側面もある。レスラーにとっての『禁断の果実』である『アナボリック・ステロイド』、俗にいう『筋肉増強剤』である。
ここ数年で、海外マットでどれだけのレスラーが『ステロイド』を中心とした
『ドラッグ』で命を落とした事か。いくつか挙げてみると、『D・S』『L・L』『H・H』などであろうか。
そのほとんどの死因が心臓発作などの内臓疾患系が多く、話しをボディビル界に移せば、その死亡率は格段に上昇する。年に数名亡くなっているといった具合だ。
『ステロイド』は、恐ろしい薬効を持っているもので、(だからこそ『薬物』なのだが。)もともとは、『筋ジストロフィー(筋肉が萎縮してしまう病気)』の患者に投与するというのが本来の使用方法である。いうなれば、『ドラッグユーザー』は、その薬効を逆利用しているわけである。当然、『処方せん』に書いてあるような服用の仕方をしても、思ったような効果は出ない。何種類もの『ステロイド』やその他の『薬物』を併用する形で摂取するのである。
『アナボリック・ステロイド』は『蛋白同化ステロイド』とも表記されるように、アメリカのレスラーのような巨大な肉体を造る為には、『薬物使用』は絶対的に必要不可欠であり、また同時に大量の『同化させる蛋白質』も摂取しなければならない。前の項でも記したが、『タンパク質』を吸収するためには『肝臓』の働きが必要不可欠であり、前述したドラッグレスラー達も間違いなくステロイド投与により、大量に必要なタンパク質を分解、吸収させるために『肝臓』の薬も併用していたはずである。
 往々にして、レスラーの薬物使用は滅茶苦茶であるらしい。
他のスポーツ選手などは、『ステロイド』を使用する際には、使用時期と未使用時期とに分けるのが基本である。つまり、年間で『サイクル』をかけるので
ある。だが、裏を返せばそれは、『何月何日に試合がある』という明確な日程
が決まっているから『サイクル』が組めるのであって、アメリカマット界などの年間何百試合をこなすなどという、言ってみれば『ありえない』スケジュールのもとでは、『サイクル』管理ができないのであろう。また、アメリカマット界は個人契約なので、常に良いコンディションでいなければ、解雇の対象になってしまう。ゆえに、『サイクル』を無視した『常に完璧なコンディション』を追い求めたのだろう。これは非常に危険な行為である。
前述した『D・S』のいとこである『D・K』などは、『サイクル』無視どころで
なく、『馬に投与するステロイド』を使っていたという。まったく滅茶苦茶である。SNプロレスに上がっていたころの事であろうか。後に『ZNプロレス』や『Mプロレス』に上がった時には、身体が耐えきれず、別人のような痩せ細った肉体でリングに上がってきたのは記憶に新しいところだ。
『H・H』なども一時期、SNマットで、S・Nとタッグを組んで『J・パワーズ』というユニットを組んでいたが、あの巨大な『N』をもはるかに凌駕するような、巨大な筋肉を身にまとっていた。相当な量の『薬物』を投与していたのであろう。
まったく恐ろしい話である。事が『ステロイド』で済んでいれば良いのだが、
『ドーピング』の世界は日々進化し続けている。『ステロイド』よりはるか
に効果のあるといわれる『成長ホルモンそのものの投与』やその先には『遺伝子ドーピング』などというものも控えている。この先の『プロマット界』は
恐ろしい事になるであろう。そしてこの事はアメリカの数十年後を歩んでいる日本マット界も決して例外ではないのである。

『ドラッグユーザー達』はナチュラルな人間の数倍の回復力とパワーを持つといわれる。まさにその代償として、肉体崩壊や精神崩壊が起こるわけだ。
かつて、“600戦無敗”といわれたグレイシー柔術のヒクソン・グレイシー選手も大会開催者に対して、『ドーピングチェックの徹底』を強固に要請したという。
過去の海外の試合において、『ドラッグユーザー達』のパフォーマンスの恐ろしさを知っての発言だろう。また彼は、日本に於けるそのキャリアのなかで面白い発言を残している。ここで紹介しようと思う。
つぎはどのような選手と闘いたいか?の問いに、

  『“人間”と闘いたい。』と。

とても意味深い発言である。この警鐘を無視してはいけない。

 頭部における衝撃も同様である。昨今の禁じ手をはるかに逸脱したような、『投げ技』は非常に危険であり、受け身の上手なレスラーといえども、危険である事に変わりはない。『フルネルソンスープレックス』『パワーボム』などが禁じ手となっていた、あの時代はどこに消えてしまったのであろうか?
投げ技が試合の見せ場となっているJr.ヘビーの選手である『獣神サンダーライガー選手』も開頭手術を受けているし、死亡事故にはならなかったものの
前衆議院議員の馳浩選手も生命の危機をさまよった経験の持ち主である。
顔面を打ち合うボクシングなどの方が、危険であり、死亡者が多いように感じるのが一般論であろうと思うが、現実には『プロレス界』の方が事故は多いのではないだろうか。意外と知られてはいないかもしれないが、デビュー前の練習生の死亡事故というのが多く、主に、練習中に意識不明になり、そのまま昏睡状態となり死亡してしまうといった具合である。この事実が皮肉にもプロレスという競技の危険性がいかに高いかをあらわしているのだ。(次回、ゲート3最終章に続く)

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2007年2月26日 (月)

格闘餓浪伝アーカイブス1 ゲート1

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今回掲載する原稿は、2005年に私が某サイトで発表したものです。
転載する事となった現在も『クラッシャー・バンバン・ビガロ』、『ザ・グラジエーター』と
40歳台半ばで他界するレスラーが後をたたない状況であり、今回『アーカイブ』という形をとり
再び警鐘を鳴らす意味も含め、掲載する事としました。かなり長い原稿ですので、数回に分けて掲載します。


『格闘家、その幻想の果て』

 2005年7月11日午前10時30分、プロレスラーの橋本真也氏が亡くなった。死因は脳内の『脳幹』という中枢部からの出血死ということである。
みなさんはこの事実をどう受け止めただろうか。
『プロレスラーは常日頃からマットに投げ付けられているからだろう』
『どうせ不摂生をし続けていたのだろう』など様々な見解をお持ちだろうと
思う。正直、そのどちらも原因に含まれる事は否定できないだろう。
確かに今回、橋本選手の直接的な死因は、脳出血ではあった。
しかし、その1か月前には『不整脈』で入院し、生前、高血圧に悩まされ、『心筋梗塞』の疑いもあったという。

 力道山以降、プロレスラーはそのイメージにおいてマスコミに守られつつも、強さに関しては『格闘技の頂点』であり、私生活においては『豪傑』というイメージを貫いてきた。しかし、『人間』はあくまで『人間』なのである。
人体が耐えうる以上の衝撃を身体に受ければ、怪我もするし、場合によっては『死』に至る事もあるのである。また、必要以上の『過食』をすれば、身体は『ギブアップ』してしまうのは、当然なのだ。

 往々にして、『レスラー及び格闘家』の晩年は不幸な事が多く、いくつか挙げてみると、全盛期は筋肉質で、大の肉好きであったというSNプロレスの『K.K選手』などもそのひとりで、選手としての末期に『肝臓』を壊したという。同じく、屈強な肉体で世を馳せた『M.S選手』も同様に肝臓病に悩まされているらしい。
レスラーのような筋肉質の肉体を造りあげるには、一般人のような食生活では
とてもではないが、栄養素が足りない。筋肉づくりの為には『タンパク質』を中心にエネルギー源になる『炭水化物』などを大量に摂取しなければならない。特にレスラーの場合、ボディビル選手と違い身体づくりと平行して『スパーリング及び試合』をこなさなければならない為に、より多くのカロリーを必要とする。
その中でも、筋肉の元となる『タンパク質』は非常に重要で、前述したレスラー達も大量の『肉類』『鶏卵』『魚介類』などを摂取していたのだろう。
彼等の全盛期には『プロテイン』などの栄養補助食品もほとんどなく、肉類を中心に身体づくりをしていたという事は容易に想像できる。
また力道山が、角界出身者であったためか『プロレスの道場』は、角界をモデルケースとしている場合が多く、食事に関しても同様で、1日2食、ドカ食い、オーバーカロリーという事がほとんどであったと思う。
筋肉の元となるタンパク質を分解、吸収するためには、肝臓の働きが必要であるが、前述したレスラーの内臓は、長年にのぼる度を超えた栄養の過剰摂取により、ギブアップしてしまったのだろう。引退後、M.S選手も、別人のように痩せ細っていた。晩年の『J.T選手』も同様であった。昨今話題の角界の『T親方』の激ヤセも同様の事だろう。特に彼の場合、現役時代、顔に湿疹が多く出ていたのが思い出される。あの頃が内臓の限界だったのでないだろうか。
 肉類に多く含まれる『たんぱく質』は、脂肪と違い体内に蓄積することが出来ない栄養素であり、毎日の食事でこまめに摂取し続けなければならない。(1回の食事で吸収される量としては40グラム程度とされているのが一般論である。)レスラー達も『大きな身体=多くのたんぱく質』という情報のもとに過剰に摂取し続けたわけである。その結果が余分な栄養素として、内臓に蓄積した『内臓脂肪』という形として残ったのである。当然ながら『たんぱく質』の吸収を助ける肝臓にも同様に脂肪が付き、それが、原因となり、脂肪肝になり、やがては『肝硬変』や『肝臓がん』を引き起こす事にもなるのだ。また、加齢による基礎代謝の低下も結果として、『たんぱく質及び栄養素』の未消化、未吸収を引き起こし、より内臓脂肪を増やす結果に拍車をかけたのではないだろうか。
 また、栄養の過剰摂取は大腸などにも同様に負担がかかる事にもなる。御存じと思うが、日本人は元々、欧米人のような肉食を中心にした狩猟民族ではなく、穀物を中心に食してきた『農耕民族』である。植物に多く含まれる繊維質を消化するために欧米人に比較して『腸』自体が長く出来ている。長さが長い事はそのまま、『悪性腫瘍』が出来やすい場所が長いことに置き換えられるのである。(次回へ続く)


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2007年2月 6日 (火)

KIDの五輪挑戦 〜プロとアマとは〜

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先日、TBS系列で放送されたドキュメンタリー番組『情熱大陸』を観た。
内容は、元フリースタイルのアマチュアレスラーで、現在は総合格闘家としてHEROSで活躍する
山本“KID”徳郁選手のアマレス再挑戦の模様を追ったものだった。

昨年、突然プロ格闘技休業宣言をし、北京五輪を目指し彼は、アマチュアの
世界に戻っていった。
数カ月間にのぼる合宿生活を終え、今回挑んだのが五輪の選考会も兼ねた
天王杯だったわけである。

結果は御存じのように“プロの洗礼”ならぬ“アマの洗礼”を
強烈に浴びる事となった。
番組内でも、触れていたがプロ格闘技において、アマレスをバックボーンとして
活かし闘う事とアマチュアレスリングとでは、技術体系そのもの
が違うのだろう。彼自身もプロの打撃ありのレスリングフォームと
フリースタイルレスリングとのフォームの差を縮める事に苦労していたようだった。

昨年末に行われた『ダイナマイト!』で、自身の持つテーマをプロのリングで
実践すべく、彼は五輪の金メダリストとの対戦を受諾した。
試合を観た感想はといえば、
『腰が高いのではないか』『中途半端なスタンス』というのが正直な感想であった。

話しが少し反れたが、彼は2回戦で、大相撲で言うところの
『かばい手』で右腕を脱臼してしまう。
この『かばい手』プロのリングでは、あまり見られないが
柔道家の吉田秀彦選手も、五輪の本戦で一度、やっている。
柔道もアマレスも一度投げられたら、実質試合は終わってしまうようなものである。
そのプレッシャーから、本来『受け身のプロ』といわれる彼らも
おもわず、この『かばい手』を取ってしまうのだろう。

今回の2回戦、開始わずか数十秒で試合終了となってしまったが、
仮にあのまま続けていたとしても、KID勝利の絵は見えてこなかったように思う。
『アマチュア競技は、そんな甘い世界ではない。』
こんな声が聞こえてきそうだ。

過去にもアマレス出身のレスラー、格闘家がKID同様に、アマチュア競技への
回帰を目指した事もあったが、皆惨敗であった。

プロ競技よりも、遥かに底辺の広い世界、、、、この事実が今回の
結果でより明確化したように思う。プロ格闘家は、笑顔で
スパーリングする事も多いが、アマチュア競技の世界にそれは
存在しない。この辺りにも、アマチュアの厳しさが出ているように思える。

結果は残念ではあったが、彼の挑戦はアマチュア競技の注目度を
向上させ、またなによりも彼自身の“アマチュア”らしい礼儀正しさ、
家族を愛する優しい一面が見えた事がなによりも嬉しかった。

完治するまで、3〜4ヵ月かかるとの事であったが、最終選考は
6月までリミットがある。
父の無念をはらす為、、、最後まで挑戦し続けてほしいものである。


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