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2007年6月26日 (火)

金網と柔術 〜A.R.ノゲイラのUFC挑戦〜

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PRIDEがなりを潜めて久しいが、契約選手達の流出が止まらないようだ。
今年初頭のミルコ米国進出に続く形で、初代PRIDEヘビー級チャンピオンのノゲイラの
UFC進出が決定した。

結果はどうなるか。

『苦戦』、『惨敗』。そんな予感が脳裏を過る。

『四角いリング』、『DON'T MOVE』のある世界と、『金網』、『オクタゴン』とは違う。

UFCの歴史を紐解いてみると、初期の技術体系が確立していない時期は別として、
バックボーンにある競技の各国代表クラスが、UFCに挑戦してきた中期に於いては
圧倒的に『テイクダウン』が強い、レスリング系の選手が勝利をものにしている。

特に、この中期は『ルール模索期』とも言え、グラウンド状態での『頭突き』が
認められていたため、力が強く、押さえ込みも強い『フリースタイルレスリング』を
バックボーンに持つ『マーク・コールマン』、『マーク・ケアー』が無敗街道を
突き進んでいたのである。

では、典型的な柔術系ファイターのノゲイラはどうか。
関節、締め技、、、そのどれもが仕掛ける事が難しい、それが現実であろう。

昨年、初期のUFCで活躍したホイス・グレイシーが、当時UFCマットで隆盛を
極めていた『レスリング系ファイター』のマット・ヒューズに惨敗したのは
記憶に新しいところだろう。
勿論、ホイスの結果のすべてをノゲイラに当てはめる事は出来ないが、年齢、その他を
抜いて考えれば、ホイスとノゲイラは柔術勢の中でも『グラウンドで下から関節を取るタイプ』
に分類され、やはり同タイプのホイスの結果は無視できない。
(参考までに揚げれば、ホイスの実兄であるヒクソン、ノゲイラの同門であるR.アローナなどは、
『相手の上に乗り、関節を極めるタイプ』といえる。)

今回のノゲイラ挑戦の結果は、勿論その『対戦相手』や『相手の闘い方』によっても
勝敗は、変わってくるだろう。特に、アメリカを主戦場にするUFCの場合、観客が
打撃による決着を望む傾向にあるので、先程述べた『相手の出方』次第では、
『スタンドパンチ』に一日の長のある彼ならば、打撃による勝利は十分可能だろう。

くり返しになるが、金網の世界で『関節系』の選手は不利である。グラウンド状態での肘打ちが認可され、『レフェリーストップ』の早い世界に於いては尚更であろう。

また今回は、関節によるフィニッシュに理解のある日本と違い、言ってみればノゲイラにとっては『アウェー』のマットとなる。
若いと言われてきた彼も30代となり『ニューカマー』から追われる立場となった。

そんな中、彼がどう闘うか。結果を待ちたい。

※前回告知した『ヒクソンコラム』は、次回に延期させていただきました。ご了承ください。

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2007年6月19日 (火)

格闘餓狼伝アーカイブス1〜最終章〜

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結論を言うと、この『無理のある身体づくり』と『過剰な試合スタイル』に警鐘を鳴らしたいのである。
一般論で言えば、観客が安くはない『チケット代』を払ってでもみたいもの
は『非日常』である。それは、どれだけこの先『上品な世の中』
になろうとも、変わらないだろう。
が、決してリング上、あるいはリング内外で死亡事故が多発して良いはずはないのである。それでは例え格闘技であってもスポーツとはいえない。それでは倫理に反してしまうだろう。
対応策として具体的にあげるならば、『質の高いレフェリングの出来るレフェリー及びルール改正』と『栄養学やスポーツコンディションに長けたコーチ』が絶対的に必要といえるのではないか。それプラス、レスラー自身の良い意味での『レスラーとしての』自覚である。
 古くから『レスラー幻想』を胸にプロレス及び格闘技を見続けてきた人間にとって、数々のレスラー幻想を抹殺するのは非常に寂しい事ではあるが、これらは事実である。その中でも『レスラーの最強幻想』に関しては近年、自分の中で、ほぼ消滅していたが、昨年のPRIDEヘビー級グランプリで小川直也選手がE.ヒョードル(現PRIDEヘビー級チャンピオン)選手に完敗した事で完全に消滅した。柔道世界王者として、プロレス界入りし、『プロレス界最後の幻想』といわれた選手が、柔道に無い『足関節』ではなく、『腕十字』で一本負けしたのだ。これ以上の事はないだろう。
昨今の現実に目を向けるにつけ、『レスラー幻想』を保っていく事はもう
現実的ではなくなってきているのだ。
くり返しになるが、数々のレスラー及び格闘家が、現在の『異種格闘技戦』の実験場である『総合格闘技』の舞台で惨敗し、酷使した身体が元で世を去っていく…。もうこの辺りで『超人達』は『人間』に回帰していくべきだと痛切に思う。

 最後に、現在隆盛を極めているPRIDEなどの『総合格闘技』もその競技としての性質上、死と背中合わせである。早急に『グランド状態でのひざ蹴り』だけでも排除しなければならないのではないだろうか。『ルールの見直し』が急務なのである。初期の総合格闘技団体『リングス』はその崩壊末期、KOKルールという現在の総合格闘技のルールに近いルールにスタイルを変更したが、最後まで『グランド状態での顔面パンチ』は解禁しなかった。それは、総帥であった前田氏が選手出身の興行主であったため、その危険性を熟知していたからだろう。
 
  格闘技界に大きな事故がないことを切に願う。


以上が、私JAY!が2005年に発表した『餓狼伝』の初稿であるが、2年以上経過した現在も尚、
レスラー達の『若すぎる他界』は終わっていない、、、、。

次回の格闘餓狼伝は、アーカイブス2として同じく2005年に発表した、ヒクソン・グレイシーについてのコラムを掲載する予定。

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