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2007年5月 4日 (金)

格闘餓狼伝アーカイブス1 ゲード2

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『身体づくり』にはもうひとつの側面もある。レスラーにとっての『禁断の果実』である『アナボリック・ステロイド』、俗にいう『筋肉増強剤』である。
ここ数年で、海外マットでどれだけのレスラーが『ステロイド』を中心とした
『ドラッグ』で命を落とした事か。いくつか挙げてみると、『D・S』『L・L』『H・H』などであろうか。
そのほとんどの死因が心臓発作などの内臓疾患系が多く、話しをボディビル界に移せば、その死亡率は格段に上昇する。年に数名亡くなっているといった具合だ。
『ステロイド』は、恐ろしい薬効を持っているもので、(だからこそ『薬物』なのだが。)もともとは、『筋ジストロフィー(筋肉が萎縮してしまう病気)』の患者に投与するというのが本来の使用方法である。いうなれば、『ドラッグユーザー』は、その薬効を逆利用しているわけである。当然、『処方せん』に書いてあるような服用の仕方をしても、思ったような効果は出ない。何種類もの『ステロイド』やその他の『薬物』を併用する形で摂取するのである。
『アナボリック・ステロイド』は『蛋白同化ステロイド』とも表記されるように、アメリカのレスラーのような巨大な肉体を造る為には、『薬物使用』は絶対的に必要不可欠であり、また同時に大量の『同化させる蛋白質』も摂取しなければならない。前の項でも記したが、『タンパク質』を吸収するためには『肝臓』の働きが必要不可欠であり、前述したドラッグレスラー達も間違いなくステロイド投与により、大量に必要なタンパク質を分解、吸収させるために『肝臓』の薬も併用していたはずである。
 往々にして、レスラーの薬物使用は滅茶苦茶であるらしい。
他のスポーツ選手などは、『ステロイド』を使用する際には、使用時期と未使用時期とに分けるのが基本である。つまり、年間で『サイクル』をかけるので
ある。だが、裏を返せばそれは、『何月何日に試合がある』という明確な日程
が決まっているから『サイクル』が組めるのであって、アメリカマット界などの年間何百試合をこなすなどという、言ってみれば『ありえない』スケジュールのもとでは、『サイクル』管理ができないのであろう。また、アメリカマット界は個人契約なので、常に良いコンディションでいなければ、解雇の対象になってしまう。ゆえに、『サイクル』を無視した『常に完璧なコンディション』を追い求めたのだろう。これは非常に危険な行為である。
前述した『D・S』のいとこである『D・K』などは、『サイクル』無視どころで
なく、『馬に投与するステロイド』を使っていたという。まったく滅茶苦茶である。SNプロレスに上がっていたころの事であろうか。後に『ZNプロレス』や『Mプロレス』に上がった時には、身体が耐えきれず、別人のような痩せ細った肉体でリングに上がってきたのは記憶に新しいところだ。
『H・H』なども一時期、SNマットで、S・Nとタッグを組んで『J・パワーズ』というユニットを組んでいたが、あの巨大な『N』をもはるかに凌駕するような、巨大な筋肉を身にまとっていた。相当な量の『薬物』を投与していたのであろう。
まったく恐ろしい話である。事が『ステロイド』で済んでいれば良いのだが、
『ドーピング』の世界は日々進化し続けている。『ステロイド』よりはるか
に効果のあるといわれる『成長ホルモンそのものの投与』やその先には『遺伝子ドーピング』などというものも控えている。この先の『プロマット界』は
恐ろしい事になるであろう。そしてこの事はアメリカの数十年後を歩んでいる日本マット界も決して例外ではないのである。

『ドラッグユーザー達』はナチュラルな人間の数倍の回復力とパワーを持つといわれる。まさにその代償として、肉体崩壊や精神崩壊が起こるわけだ。
かつて、“600戦無敗”といわれたグレイシー柔術のヒクソン・グレイシー選手も大会開催者に対して、『ドーピングチェックの徹底』を強固に要請したという。
過去の海外の試合において、『ドラッグユーザー達』のパフォーマンスの恐ろしさを知っての発言だろう。また彼は、日本に於けるそのキャリアのなかで面白い発言を残している。ここで紹介しようと思う。
つぎはどのような選手と闘いたいか?の問いに、

  『“人間”と闘いたい。』と。

とても意味深い発言である。この警鐘を無視してはいけない。

 頭部における衝撃も同様である。昨今の禁じ手をはるかに逸脱したような、『投げ技』は非常に危険であり、受け身の上手なレスラーといえども、危険である事に変わりはない。『フルネルソンスープレックス』『パワーボム』などが禁じ手となっていた、あの時代はどこに消えてしまったのであろうか?
投げ技が試合の見せ場となっているJr.ヘビーの選手である『獣神サンダーライガー選手』も開頭手術を受けているし、死亡事故にはならなかったものの
前衆議院議員の馳浩選手も生命の危機をさまよった経験の持ち主である。
顔面を打ち合うボクシングなどの方が、危険であり、死亡者が多いように感じるのが一般論であろうと思うが、現実には『プロレス界』の方が事故は多いのではないだろうか。意外と知られてはいないかもしれないが、デビュー前の練習生の死亡事故というのが多く、主に、練習中に意識不明になり、そのまま昏睡状態となり死亡してしまうといった具合である。この事実が皮肉にもプロレスという競技の危険性がいかに高いかをあらわしているのだ。(次回、ゲート3最終章に続く)

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